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高度な活用/2026-07-10上級

カテゴリを30から34に増やした日 — 8,000枚を全部かけ直さない差分再分類の設計

分類カテゴリを30から34に増やした際、既存8,000枚超を全件かけ直さない差分再分類の設計を記録しました。埋め込みで影響ラベルを絞り、確信度マージンで境界資産を拾う選定ルールの Before/After と、実際に回した結果や外した1件まで共有します。

Gemini API207画像分類4gemini-embedding-27タクソノミーコスト最適化26個人開発95

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壁紙アプリのカテゴリを30個から34個に増やしたとき、最初に頭をよぎったのは新カテゴリの命名でも画面設計でもなく、「すでに分類済みの8,142枚をどうするか」でした。

新しいカテゴリは、既存のどれかから資産を奪います。「夜景」を足せば、それまで「風景」や「都市」に入っていた画像の一部は、本来そちらへ移るべきものです。かといって8,142枚を Gemini にもう一度全部投げるのは、費用の面でも待ち時間の面でも気が進みません。

個人開発でこの種の判断を迫られるたびに感じるのは、「正しさ」と「かけられるコスト」の折り合いをどこで付けるかが設計そのものだということです。今回はその折り合いを、埋め込みと確信度マージンという2つの信号で決めた記録を残しておきます。

全件再分類が高くつく理由を、まず数字で押さえる

判断の前に、全件やった場合のコストを見積もりました。Flash 系のモデルに 768px 相当の画像1枚とラベル定義を渡し、上位2ラベルを構造化出力で返させる構成です。

項目全件再分類
対象枚数8,142 枚
1枚あたり入力トークン(画像+プロンプト)約 1,120
1枚あたり出力トークン約 45
推定費用約 3,900 円
実行時間(並列度8)4 時間 12 分
ラベルが実際に変わった枚数1,046 枚(12.8%)

最後の行が肝心なところです。8,142枚を投げて、変わったのは1,046枚。裏を返せば87%は投げる前から結論が決まっていた計算になります。この87%を投げずに済ませられれば、費用も時間もそのまま削れます。

なお上の表の「変わった枚数」は、後述する差分再分類の妥当性を測るために、一度だけ全件を回して答え合わせをした結果です。日々の運用では、この全件実行こそが避けたい対象になります。

再分類すべき資産は「新カテゴリに奪われうるもの」だけ

新カテゴリ「夜景」が奪うのは、意味的に近いラベルを持つ資産だけです。「猫」や「幾何学模様」に入っている画像が夜景に移ることは、まず起きません。

そこで再分類の対象を、次の2つの和集合として定義しました。

  1. 影響ラベル集合 — 新カテゴリと意味的に近い既存ラベルを持つ資産
  2. 境界資産集合 — 分類時の確信度マージンが小さく、もともと判定が揺れていた資産

1つ目は「新カテゴリのせいで答えが変わりうる」資産、2つ目は「新カテゴリがなくても答えが揺れていた」資産です。前者だけでは、たとえば風景とも夜景ともつかない曖昧な1枚を、影響ラベルの網から漏らしてしまいます。

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8,142枚の全件再分類(約3,900円・4時間12分)を1,180枚(約570円・38分)に圧縮した選定ルールと実測値
gemini-embedding-2 で新旧カテゴリの意味的近傍を測り「奪われうる既存ラベル」だけを再分類対象にする実装
taxonomy_version と確信度マージンを持つ分類台帳の設計、および1件だけ取りこぼした境界事例の分析
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