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記事一覧/API / SDK
◈ API / SDK/2026-07-06上級

Managed Agents を本番に上げる前に、固定シナリオで挙動を測る — 非決定的なエージェントに回帰スイートと段階昇格を敷く

公開プレビューの Managed Agents は隔離サンドボックスで自律的に動く分、プロンプトや設定を少し変えただけで挙動が静かにずれます。単発プロンプトのように出力を一度突き合わせるだけでは足りません。固定シナリオを何度も回して合格率で測る回帰ハーネスと、影→カナリア→全面の段階昇格、逸脱時の自動ロールバックまでを、動く Python とともに設計します。

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✦ プレミアム記事

金曜の夜に、無人で回している自動処理のエージェント指示を一行だけ直しました。「成果物が長すぎるときは要約する」という、良かれと思った追記です。土曜の朝にログを開くと、エージェントは要約を優先するあまり、本来そのまま残すべき数値表まで畳んでいました。壊れてはいません。ただ、静かにずれていたのです。

私は個人開発で、複数のサイト運用や AdMob 周りの集計を無人の自動処理に任せています。単発の API 呼び出しなら、出力を一度目視すれば済みます。ところが Managed Agents は隔離サンドボックスの中で計画・推論・ツール実行・ファイル操作までを自分で進めるため、同じ入力でも通る経路が毎回わずかに変わります。「一度動いたから大丈夫」が最も効かない相手です。

だから賢くする話に入るより手前で、エージェントの挙動を本番に上げる前に固定シナリオで測る層を敷く設計を共有したいと思います。単発プロンプトのテストとは考え方から変える必要があります。

エージェントは単発プロンプトのようにはテストできない

単発のプロンプトなら、評価は素直です。入力を固定し、出力を期待値と突き合わせ、差分を見る。多少の揺れは温度や表現の問題で、目視か軽い一致判定で捕まえられます。

エージェントでは前提が三つ崩れます。

第一に、多段であること。最終成果物が同じでも、途中でどのツールをどの順に呼んだかが変わります。禁止したはずの外部書き込みを一度だけ挟んでいても、成果物だけ見ていれば気づけません。

第二に、環境状態を持つこと。エージェントはサンドボックス内のファイルや会話履歴を読みながら進みます。初期状態が一行違えば、同じ指示でも別の経路に入ります。テストは「入力」だけでなく「初期環境」ごと固定しなければ再現しません。

第三に、非決定性。温度をゼロに寄せても、ツール応答の順序やタイミングで分岐が揺れます。一回通ったことは、次も通る保証になりません。一致判定を一度きりで下すと、たまたまの成功を昇格させてしまいます。

ここから導かれる方針は明確です。出力の完全一致ではなく、満たすべき不変条件を複数回の反復で合格率として測る。この一点に評価設計を寄せます。

固定シナリオを「初期環境 + タスク + 不変条件」で定義する

回帰スイートの最小単位を、私は次の三点セットで持っています。初期環境のスナップショット、与えるタスク、そして満たすべき不変条件。出力そのものは書きません。書けないからです。

一つのシナリオを JSON で表すと、こうなります。

{
  "id": "summarize-keep-tables-001",
  "seed_files": {
    "input/report.md": "seed/report_with_tables.md"
  },
  "task": "input/report.md を読み、長すぎる本文は要約すること。ただし数値表はそのまま保持し、output/result.md に書き出すこと。",
  "invariants": {
    "artifact_exists": ["output/result.md"],
    "must_contain_table": true,
    "forbidden_tools": ["web_write", "external_egress"],
    "max_steps": 12,
    "max_cost_usd": 0.04
  },
  "repeats": 5
}

seed_files がこのシナリオの「初期環境」です。実運用で一度事故った入力ほど良い種になります。私は冒頭の「表まで畳まれた」ケースを、そのまま report_with_tables.md として固定しました。回帰スイートは、過去に一度でも転んだ場所を二度と踏まないための記録でもあります。

invariants には、出力の中身ではなく性質だけを書きます。「表が残っていること」「禁止ツールを呼んでいないこと」「12ステップ以内」「0.04ドル以内」。表現が毎回変わっても、この性質が保たれていれば合格とみなします。

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✦プロンプトや設定を少し変えるたびに Managed Agents の挙動が静かにずれる不安を抱えている方が、候補構成を固定シナリオへ複数回ぶつけて合格率で判定する回帰ハーネスを今日から組めるようになります
✦run trace から使用ツールの並びと成果物、ステップ数・コストを抜き出し、5回反復の合格率としきい値で昇格可否を機械的に決める、そのまま動く Python の評価ループを手に入れられます
✦影実行→カナリア10%→全面という段階昇格と、逸脱検出時に役割→構成の間接層を1箇所だけ書き換えて即座に戻す自動ロールバックの設計判断が分かります
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