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API / SDK/2026-07-30上級

二段構成の採算を決めていたのは昇格率ではなく、昇格した集合の出力長でした

Flash-Lite を前段に置き、迷った分だけ 3.6 Flash に昇格させる二段構成。その採算を昇格率だけで見積もると外します。昇格した集合の出力長を式に入れて損益分岐点を解き直した記録です。

Gemini API198Flash-Lite2コスト設計9モデルルーティング3個人開発93

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Gemini 3.5 Flash-Lite の単価を並べた夜、手元の見積もり表を作り直しました。入力 $0.30、出力 $2.50(100万トークンあたり)。常用している Gemini 3.6 Flash の入力 $1.50・出力 $7.50 と比べると、入力で5倍、出力で3倍の開きです。

個人開発で回しているのは、壁紙画像に説明とカテゴリを付けるバッチ処理です。全件を Flash-Lite に通し、判定が怪しいものだけ 3.6 Flash に昇格させる。二段構成にすれば総額は半分近くまで落ちる、と見積もりました。昇格率は25%と置きました。

実際に組んでみると、削減率は見積もりよりずっと小さい水準に着地しました。

原因は昇格率ではありませんでした。昇格した集合の出力が、平均より長かったこと。当然のことのようでいて、私の見積もりの式にはその項が入っていませんでした。

二段構成の総額を、まず式として書く

一件あたりの費用を素直に書き下します。前段(Flash-Lite)は全件に走り、後段(3.6 Flash)は昇格した割合 e にだけ走ります。

from dataclasses import dataclass
 
@dataclass(frozen=True)
class Price:
    name: str
    inp: float   # USD / 1M input tokens
    out: float   # USD / 1M output tokens
 
LITE  = Price("gemini-3.5-flash-lite", 0.30, 2.50)
FLASH = Price("gemini-3.6-flash",      1.50, 7.50)
 
def unit_cost(p: Price, t_in: float, t_out: float) -> float:
    """1件あたりの費用(USD)"""
    if t_in < 0 or t_out < 0:
        raise ValueError(f"token counts must be non-negative: {t_in=}, {t_out=}")
    return (t_in * p.inp + t_out * p.out) / 1_000_000
 
def cascade_unit_cost(t_in, t_out_lite, t_out_flash, e, k=1.0) -> float:
    """二段構成の1件あたり費用。
    e: 昇格率、k: 昇格した集合の出力長倍率(母集団平均に対する比)
    """
    if not 0.0 <= e <= 1.0:
        raise ValueError(f"escalation rate out of range: {e}")
    if e * k > 1.0:
        # 昇格集合が k 倍長いなら、母集団平均を満たすには e*k <= 1 が必要
        raise ValueError(f"inconsistent bias: e*k must be <= 1 (got {e * k:.3f})")
    first  = unit_cost(LITE, t_in, t_out_lite)
    second = unit_cost(FLASH, t_in, t_out_flash * k)
    return first + e * second

昇格した件は入力を二度払います。前段で1回、後段でもう1回。ここが二段構成でいちばん警戒される点で、私も最初はここを疑いました。

昇格した集合は、平均より長い

昇格するのは、前段が扱いきれなかった件です。曖昧な画像、要素が多い構図、指示に対して素直に収まらない対象。そういう件を強いモデルに渡せば、返ってくる出力も長くなります。推論を挟むモデルであれば、思考側のトークンも増えます。

そこで、昇格した集合の出力長を母集団平均の k 倍として式に入れました。k は測って決める値です。1.0 と置くのは「昇格した件も平均的な長さで返ってくる」という仮定で、私はそれを無自覚に置いていました。

制約が一つあります。母集団平均を崩さないためには e * k <= 1 が必要です。上の実装では、この不整合を例外で弾いています。見積もりの式を人手で触っていると、ここを踏み越えたまま数字が出てしまいます。

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昇格した集合の出力長倍率 k を含めて損益分岐点を解く式と、そのまま動かせる実装
入力シェア88.9%のワークロードでは k=2 でも分岐点が10.0%しか下がらず、出力優位では48.8%下がるという計算結果
昇格率を±4ポイントで確定させるのに必要な標本数と、k の推定誤差0.5が削減率を12ポイント動かす感度
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