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◈ API / SDK/2026-05-28上級

Gemini API の SLO と Error Budget を個人開発で運用する設計 — 4 サイトの可用性を Burn Rate 監視で守る

Gemini API を 4 サイトの本番運用に組み込んできた立場から、個人開発でも実装できる SLO と Error Budget の運用設計をまとめました。Cloudflare Workers と KV を使った Burn Rate 計算、Multi-Window アラート、エラー予算消費時の機能凍結ルールを動くコード付きで共有します。

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✦ プレミアム記事

朝 7 時に Slack のアラート通知で目が覚めた朝がありました。Gemini Lab の API 失敗率が直近 30 分で 4.2% に上がっていて、その間ずっと、私はそれに気づいていませんでした。AdMob の月次レポートを開いていた裏側でユーザーが静かに離脱していたわけです。

2014 年から個人開発でモバイルアプリを続けてきた身として、可用性を「いつもの感覚」で守れた時代は確かにありました。アプリが 1 本、サービスが 1 つだった頃の話です。今は Dolice Labs として 4 サイトを並行運用していて、Gemini API はそのほぼ全てに薄く広く埋め込まれています。1 サイトの劣化を別サイトの作業中に気づくのは、もう無理です。

ここでは私が現在運用している SLO(Service Level Objective)と Error Budget の設計を、Cloudflare Workers と KV を使う前提で書き残しておきます。Google SRE 本に出てくる本格的な Multi-Window Multi-Burn-Rate アラートを、個人開発で運用可能な粒度に削った版です。

なぜ「いつもの感覚」では複数サイト運用は守れないか

廣川自身、長く個人開発をやっていて「数字より勘の方が当たる」という時期は確かにあったように思います。ただ、AdMob 月収を支えるアプリが累計 5,000 万 DL を超え、ブログサイトが 4 つに増えた今の構成で同じやり方を続けると、次のような事故が起きやすくなります。

ある日 Gemini API がエラーを返し始めても、別のサイトの記事生成タスクを見ている間は気づきません。気づいた頃には Search Console のクロール失敗が積み上がり、Helpful Content System の評価が下がる、というシナリオが現実に起きました。Claude Lab で 2026 年春に経験した GSC インデックス崩壊の遠因の一つも、こうした「静かな劣化を見逃した時間」だったと反省しています。

SLO を定義するということは、許容できる劣化の量を数値で決めるということです。許容できなかった瞬間を機械が代わりに見張ってくれる仕組みにすることで、個人開発でも「気づくのが遅れる」リスクを構造的に下げられます。

SLO の構成要素を最小限で押さえる

ここで使う言葉を最短で揃えておきます。SRE 本の語彙そのままで覚える必要はなくて、運用に必要な分だけで充分です。

  • SLI(Service Level Indicator)— 計測したい指標。ここでは「成功したリクエストの割合」を採用します。
  • SLO(Service Level Objective)— SLI に対する目標値。例えば「直近 30 日で 99.0% 以上」のように決めます。
  • Error Budget — 1 − SLO の許容失敗量。99.0% なら 1.0% が予算で、これを 30 日で配分します。
  • Burn Rate — エラー予算を消費する速度。1.0 だと 30 日でちょうど使い切るペース、10.0 だと 3 日で使い切るペースです。

私は Gemini API 呼び出しに対して、サイトごとに次のように SLO を分けています。Rork Lab のように記事数とアクセスが安定しているサイトと、Antigravity Lab のように比較的小規模でアクセスの揺れが大きいサイトを、同じ目標で運用するのは無理があるからです。

サイトSLO(直近 30 日成功率)月の Error Budget
Claude Lab99.0%1.0%
Gemini Lab99.0%1.0%
Rork Lab99.5%0.5%
Antigravity Lab98.5%1.5%

サイト規模やリクエストの性質に応じて目標を変えることで、過剰な保守も足りない保守も避けやすくなります。

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この記事で得られること
✦Cloudflare Workers + KV で 1 分粒度の Burn Rate を計算する TypeScript 実装と、4 サイト分の SLI を 1 つの集計ストアに寄せる設計
✦Multi-Window Multi-Burn-Rate アラートを個人開発向けに簡略化した 4 段階のしきい値設計と、誤報を抑えるための時間窓の置き方
✦Error Budget を使い切ったときに「新機能凍結」「Pro→Flash 一段落とし」「ユーザー通知」のどれを選ぶか、AdMob 収益と並行する立場から固めた判断ルール
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