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◈ API / SDK/2026-05-22上級

Gemini API の Recitation block が発火する条件と、応答が消えないためのプロンプト・ポストプロセス設計

Gemini API でリサーチや要約系のエージェントを長時間動かしていると、ある日突然 finishReason: 'RECITATION' が連発し始め、応答本文が空のままセッションが切れる症状に遭遇します。著作権保護のかかった長文の逐語引用と判定された時の安全機構ですが、回避するためのプロンプト設計とポストプロセスを、6サイトの自動投稿パイプラインで実装した内容ごと共有します。

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✦ プレミアム記事

Gemini API を使ったコンテンツ生成エージェントをそこそこの規模で運用していると、ある日いきなり finishReason: "RECITATION" がログを埋め始めます。一見成功レスポンスのように見えるのに、candidates[0].content.parts は空。リトライしても同じ結果が返り、ユーザー側からは「画面に何も出ない」「途中で切れた」というクレームになります。2014年からアプリ事業をやってきた身として、Dolice ブランドで個人開発・運営している6サイト(Claude Lab・Gemini Lab・Antigravity Lab・Rork Lab・Lacrima・Mystery)のコンテンツ自動投稿パイプラインで、ある月に Recitation block が原因で月 20 回近く記事生成が止まり、夜間バッチを朝確認するたびに記事数が足りないという状況に陥っていました。

Recitation block は、Gemini が「いま生成しようとしている応答が、著作権保護されたコンテンツの長文逐語引用に該当しそうだ」と判定したときに発動する安全機構です。safetySettings で OFF にできる類のものではなく、内部のリサイテーション検出器が独立して動いているので、プロンプトとポストプロセスの両方の設計で発火率を下げる 必要があります。

ここでは、6サイトのパイプラインで実装した発火検知・回避プロンプト・ポストプロセス・最終リトライまでの一連のコードと、半年運用してわかった発火条件の温度感を共有します。

発火する5つの典型条件

ログを半年分集計した結果、Recitation block が発火するのはほぼ次の5パターンです。

  1. 既存記事・ニュース・論文の本文を長文引用する依頼(発生率 約 45%): 「次の記事の本文を踏まえて」「以下の論文の3章を要約して」のような依頼で、与えた原文の一部をそのまま再出力しようとすると発火しやすい
  2. 歌詞・詩・有名な文学テキストの再現(約 20%): 著作権保護期間中の歌詞・詩・小説の一節を、たとえ少量でも生成しようとすると発火する
  3. 公開コードベースの長文コピー(約 15%): 既存 OSS のコードを大きな塊で再出力しようとすると発火する(特定のフレームワークの公式チュートリアルの完全コピーなど)
  4. ニュース速報の見出しと第一段落の連続生成(約 12%): ニュース要約エージェントで、見出し・リード・本文の冒頭を続けて再現しようとすると発火する
  5. 長い JSON データの逐語再生(約 8%): 与えられたデータセットの全フィールドをそのまま JSON で出力しようとする処理で発火することがある

リトライで直る確率は、1番目で 5%、2番目で 0%、3番目で 30%、4番目で 10%、5番目で 60% でした。1〜4 はプロンプト設計の問題なので、リトライではなく 書き方を変えないと根治しません。

API レスポンスからの検出ロジック

最初にやるべきは確実な検出です。Gemini API は Recitation block で停止すると、candidates[0].finishReason を "RECITATION" にし、content.parts を空にして返します。ステータスコードは 200 OK なので、ナイーブな実装だと「空の成功レスポンス」として通り抜けてしまいます。

import { GoogleGenerativeAI } from "@google/generative-ai";
 
interface DetectionResult {
  isRecitation: boolean;
  partial: string;          // RECITATION 直前まで生成された部分
  citationMetadata?: unknown;
}
 
function detectRecitation(response: any): DetectionResult {
  const candidate = response?.candidates?.[0];
  if (!candidate) return { isRecitation: false, partial: "" };
 
  const finishReason = candidate.finishReason ?? "";
  const isRecitation = finishReason === "RECITATION";
 
  // ストリーミング中に発火した場合、partial にはそこまでの生成が残っている
  const partial = (candidate.content?.parts ?? [])
    .map((p: { text?: string }) => p.text ?? "")
    .join("");
 
  return {
    isRecitation,
    partial,
    citationMetadata: candidate.citationMetadata,
  };
}

citationMetadata を返すこともあり、ここに「どの公開ソースの引用と判定したか」のヒントが入ります。私のパイプラインでは、これをログに残しておき、後で「どの依頼が引っかかったか」をデバッグできるようにしています。

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✦Recitation block が発火する5つの典型条件を、API レスポンスの finishReason / citationMetadata と一緒に切り分けられるようになります
✦プロンプトの書き換えで発火率を 9割以上下げる「言い換え強制プロンプト」のテンプレートと、TypeScript のポストプロセスコードを持ち帰れます
✦自動投稿パイプラインで実装したリトライハンドラと、それでも止まるケースの最終手段(モデル切替・チャンク分割)の判断基準を共有します
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