夜遅く、家計簿アプリを開いたまま、私は手を止めておりました。今月の支出を Gemini に見せて相談したいのに、数字の並びを送信してよいものか、胃のあたりが少し重くなったのです。
便利さと、履歴に残ることへの不安。その両方を抱えたまま、結局その晩は何も送らずに閉じてしまいました。
最初にお伝えしたいのは、「残す話」と「残さない話」を、会話を始める前に自分で選べるということです。そのための道具が「一時チャット」と、アクティビティの設定です。
一時チャットは「新しい会話の入口」で選びます
一時チャットは、通常のチャットとは別に始める会話です。新しいチャットを開いたとき、画面の上のほうに専用のボタンが用意されています(画面の表記や位置は更新で変わることがあります)。
公式のヘルプでは、一時チャットの会話は最近のチャットの一覧に並ばず、あなたの好みに合わせた回答のためにも使われない、と案内されています。詳しい仕様は Gemini アプリ ヘルプ でご確認ください。
ここで私が押さえておきたいのは、次の二点です。
- 始めてから切り替えることはできないため、相談の内容を決めた時点で、入口を選びます
- 「一覧に出ない」ことと「どこにも保存されない」ことは、同じ意味ではありません
後者は見落としやすい点でした。一時チャットの会話でも、サービスの運営や安全のために、一定の短い期間は保管されると説明されています。保管期間の日数は更新されることがあるので、数字はヘルプの最新版でご覧ください。
通常チャットとの違いを、表で並べます
何を相談するかで入口を変えるために、私は次のような表を手元に置いています。
| 観点 | 通常チャット | 一時チャット |
|---|---|---|
| 最近のチャットの一覧 | 表示される | 表示されない |
| 好みに合わせた回答への反映 | 設定により反映されうる | 反映されない |
| 後日の続きの相談 | 一覧から再開できる | 再開できない前提で使う |
| 向いている相談 | 継続して育てたい下書き・計画 | 家計・体調・人間関係など一度きりの相談 |
「再開できない」という点は、裏返すと弱点にもなります。家計の見直しを数回に分けたいときは、一時チャットでは前回の続きに戻れません。相談の終わりに、手元のメモへ結論だけ書き写す習慣を、先に作っておくと安心です。
確認の順番は「入口、設定、削除」の三つ
私が実際に決めている順番は、次の三つです。
1. 入口を選ぶ。 家計・健康・家族の話は、最初から一時チャットで始めます。迷ったときは、残さない側へ倒します。
2. アクティビティの設定を見る。 通常チャットの保存は、アプリのアクティビティの設定で決まります。オフにしている場合でも、一定期間は保管されると案内されているため、「オフにしたから安心」と思い込まないことが大切です。設定の場所は、アプリの設定メニューの中にあります。
3. 残った履歴を消す手段を知っておく。 うっかり通常チャットで始めてしまった日のために、個別の会話を削除する方法と、一定期間で自動的に消える設定があることを、あらかじめ確かめておきます。
三つ目まで済ませておくと、「間違えても戻せる」という感覚が生まれます。この感覚が、実は一番の安心材料でした。
相談の中身も、少しだけ薄めておきます
道具を整えても、入力する内容までは守ってくれません。私は一時チャットでも、次の三つは書かないようにしています。
- 氏名・住所・口座番号など、個人を特定できる情報
- 診断名と薬の名前を、実名の医療機関名とあわせて書くこと
- 家族や職場の人の名前
家計なら「月の手取り」「固定費の合計」「変動費の内訳」の数字だけで十分に相談できます。体調なら「3日続く頭痛」「夜に悪化する」といった症状の経過で、助言の質はほとんど変わりません。
なお、健康や家計の相談は、あくまで考えを整理する叩き台です。診断や投資の判断は、専門の方にご相談ください。
今日からの最初の一歩
まず、次に家計か体調のことを相談したくなったとき、通常チャットではなく一時チャットの入口から始めてみてください。それだけで、「送ってよいのか」という迷いはずいぶん軽くなります。
覚えておきたい原則は、一文にまとめました。入口で残し方を選び、中身は必要な数字だけにします。
記憶やパーソナライズの設定は別の機会に書き残します。私自身、この原則だけは、どんなに便利なツールを使うときでも守るようにしております。