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⬡ 高度な活用/2026-07-07上級

構造化出力のストリーミングで、完成したフィールドから順に画面へ出す — 不完全なJSONを安全に読む部分パース

responseSchema でストリーミングすると、JSONが閉じるまで画面は真っ白なまま待たされます。不完全なJSONを安全に補完して読む部分パースと、一度出した値を後退させない逆流防止を組み、最初のフィールドまでの体感を実測とともに縮める設計を残します。

gemini-api287ストリーミング13構造化出力18個人開発121本番運用49

✦ プレミアム記事

AdMob の日次レポートを要約するカードを、自分の管理画面に足したときのことです。Gemini に数値を渡し、responseSchema で「見出し・要点・推奨アクション・スコア」を返してもらう、よくある構成でした。

動きはしました。ただ、押してから結果が出るまで、画面は数秒間まっさらのままでした。裏ではトークンが届いているのに、JSONが最後の } で閉じるまで JSON.parse が投げ続けるので、何も描けなかったのです。

ストリーミングにしているのに、体感は一括取得と変わりませんでした。むしろ「押したのに無反応」に見える分だけ、印象は悪くなっていました。

その真っ白な数秒を、完成したフィールドから順に埋めていく数百ミリ秒へ。個人開発の自分の画面で実際にそう変えられた、部分パースと逆流防止の設計を、私自身のつまずきも含めて動くコードとともに残します。

完成待ちが体感を悪くする理由

構造化出力のストリーミングでは、モデルは JSON を頭から少しずつ吐き出します。届くのはこういう断片の連なりです。

到着段階バッファの中身(イメージ)JSON.parse
序盤{"title":"省エネ壁紙失敗
中盤{"title":"省エネ壁紙12選","summary":"暗色失敗
終盤{...,"score":87}成功

標準の JSON.parse は、閉じていない文字列やオブジェクトを一切許しません。ですから終盤で全体が閉じるまで、私たちは何も取り出せません。

けれど中身をよく見ると、title は序盤の時点で既に確定しています。読者に見せられる情報が手元にあるのに、末尾が閉じていないという一点で握りつぶしている。ここが体感の損失点でした。

やりたいことは単純です。バッファが届くたびに、その時点で確定している先頭のフィールドだけを安全に取り出して、順番に画面へ流す。これだけです。

不完全なJSONを安全に補完して読む

方針は、バッファをそのままパースして失敗したら、閉じられる最小限の補完をしてからもう一度パースする、というものです。開いたままの文字列・オブジェクト・配列を数えて、足りない分の閉じ括弧を足します。

半端に書かれている末尾の値(打ちかけの数値やキーだけの箇所)は、揺れの原因になるので落とします。完成した部分だけを見せるのが目的だからです。

// 開いたままの構造を閉じ、半端な末尾を落として「今わかる範囲」を作る
function completePartial(buf: string): string {
  const stack: string[] = [];
  let inStr = false;
  let esc = false;
  let out = buf;
 
  for (let i = 0; i < buf.length; i++) {
    const c = buf[i];
    if (inStr) {
      if (esc) esc = false;
      else if (c === "\\") esc = true;
      else if (c === '"') inStr = false;
      continue;
    }
    if (c === '"') inStr = true;
    else if (c === "{" || c === "[") stack.push(c);
    else if (c === "}" || c === "]") stack.pop();
  }
 
  if (inStr) out += '"';              // 開いたままの文字列を閉じる
  out = out
    .replace(/,\s*$/, "")             // 末尾のカンマを落とす
    .replace(/:\s*$/, ": null")       // 値のないキーは null で埋める
    .replace(/([0-9])\.$/, "$1");     // 打ちかけの小数点を切る
 
  for (let i = stack.length - 1; i >= 0; i--) {
    out += stack[i] === "{" ? "}" : "]";
  }
  return out;
}
 
export function safeParse(buf: string): unknown | null {
  try { return JSON.parse(buf); } catch { /* まだ閉じていない */ }
  try { return JSON.parse(completePartial(buf)); } catch { return null; }
}

completePartial の肝は、文字列の内側を数えないことです。"{" のような括弧が値の文字列に含まれていても、inStr フラグで無視します。これを忘れると、本文に括弧が入った瞬間に補完が壊れます。

これを Gemini のストリームに繋ぎます。チャンクが届くたびにバッファへ足し、safeParse で「今わかる範囲」を取り出します。

import { GoogleGenAI } from "@google/genai";
 
const ai = new GoogleGenAI({ apiKey: process.env.GEMINI_API_KEY! });
 
async function streamCard(prompt: string, onField: (k: string, v: unknown) => void) {
  const stream = await ai.models.generateContentStream({
    model: "gemini-flash-latest",
    contents: prompt,
    config: {
      responseMimeType: "application/json",
      responseSchema: {
        type: "object",
        properties: {
          title:   { type: "string" },
          summary: { type: "string" },
          actions: { type: "array", items: { type: "string" } },
          score:   { type: "integer" },
        },
        propertyOrdering: ["title", "summary", "actions", "score"],
        required: ["title", "summary", "actions", "score"],
      },
    },
  });
 
  let buf = "";
  const emitter = fencedEmitter(onField);
  for await (const chunk of stream) {
    buf += chunk.text ?? "";
    const obj = safeParse(buf);
    if (obj && typeof obj === "object") emitter(obj as Record<string, unknown>);
  }
}
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✦一度表示したフィールドが後続チャンクで消えたり揺れたりする逆流を、フェンシングで止める実装を手に入れられます
✦propertyOrdering で到着順を設計し、最初のフィールドまでの時間を実測で約2.4秒から0.4秒へ縮めた経緯を追体験できます
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