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高度な活用/2026-07-09上級

無料ユーザー一人あたりのトークン予算を決める — AdMob 収益と AI 機能のコストを釣り合わせる設計

レート制限は秒あたりを守りますが、月末の請求は守ってくれません。広告収益から一人あたりのトークン予算を逆算し、呼び出しラッパー一か所で台帳を作り、ソフトキャップで段階的に降格させ、上位1%の消費比率で濫用を検知するまでを、動くコードとともにまとめます。

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プレミアム記事

先月の AdMob レポートと Gemini API の請求書を並べて眺めていたとき、伸びている数字が片方だけでした。

広告収益はほぼ横ばい。API のコストだけが、前月の 2.4 倍。

障害でも不具合でもありません。ログを掘っていくと、ある一人の利用者が、AI 機能を一日に 300 回以上呼んでいました。悪意があったわけでもなさそうで、気に入った機能を延々と試していただけのようでした。レート制限は正しく効いていました。毎分の上限も、毎日の呼び出し回数も、設計どおりに守られていました。

守られていなかったのは、月末に届く請求書のほうです。

レート制限が守るものと、守らないもの

レート制限は「単位時間あたりの流量」を制御します。一方で私たちが本当に守りたいのは「課金期間あたりの金額」です。この二つは似ているようで、まったく違う量を見ています。

毎分 10 回、毎日 300 回という制限は、それ自体は破綻していません。ただ 300 回 × 30 日 = 9,000 回の呼び出しは、一人の無料ユーザーとしては明らかに過剰です。広告から得られる収益の何十倍にもなります。

個人開発で App Store と Google Play にアプリを出していると、この非対称性がそのまま損益に効いてきます。ユーザー数が増えて嬉しいはずの月に、口座の残高だけが減っていく。

必要なのは、時間軸ではなく金額軸のガードです。そして金額軸のガードは、収益から逆算しないと数字が決まりません。

一人あたりの予算は、収益から逆算する

まず「一人の無料ユーザーが、月にいくら稼いでくれるか」を出します。私のアプリの場合は AdMob のインタースティシャル広告が主な収益源ですので、eCPM と一人あたりのインプレッション数から求めます。

項目出どころ
eCPM380円AdMob 直近 30 日
1 DAU あたり日次インプレッション3.0AdMob ÷ Firebase DAU
1 DAU あたり日次収益1.14円380 ÷ 1000 × 3.0
月間アクティブ日数(中央値)9 日アプリ内計測
1 ユーザーあたり月次 ARPU10.3円1.14 × 9

ここから、AI 機能に割り当ててよい原価比率を決めます。私は 30% を上限に置いています。サーバー費用と決済手数料を差し引いても、機能を維持できる水準がこのあたりでした。

つまり一人あたりの月次トークン予算は 3.0円 前後。ここに、実効単価を当てます。

実効単価は公表価格ではなく、自分の請求から逆算した数字を使ってください。キャッシュヒット率やプロンプトの長さで、同じモデルでも呼び出しあたりの金額はかなり変わります。私のケースでは、平均 1 回 0.42円 でした。

指標私の実測導かれる上限
月次 ARPU10.3円
AI 原価比率の上限30%3.09円 / 人・月
実効単価(1 呼び出し)0.42円
無料ユーザーの月次呼び出し上限7 回

7 回。この数字を初めて出したとき、少し手が止まりました。無料で無制限に AI 機能を開放するという発想が、そもそも算数として成り立っていなかったのだと気づかされます。

呼び出し回数ではなくトークン数で管理するほうが精度は上がりますので、実装ではトークン建ての予算に換算します。私は「月次 7,500 トークン相当(入出力の加重合計)」という形で持たせています。

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この記事で得られること
eCPM と DAU から「一人あたり月いくらまでトークンに使ってよいか」を逆算する計算表と、私の実測値(実効単価 1回 0.42円)による当てはめ
usage_metadata の 4 フィールドから実費を確定し、ユーザー単位の予算台帳を呼び出しラッパー 1 か所に閉じ込める Python 実装
予算 70% でモデル降格・100% で機能停止という 3 段の劣化ラダーと、上位 1% の消費比率で濫用ユーザーを検知する集計コード
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