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API / SDK/2026-06-21上級

Gemini API の usageMetadata で本番アプリのコストを記録する — リクエスト単位で請求書と突き合わせる実装パターン

usageMetadata をリクエスト単位で記録し、エンドポイント・ユーザー・モデル別にコストを按分する実装パターンに加え、3.5 Flash GA で既定モデルが差し替わってもコスト記録が狂わないよう resp.model_version を基点にした単価引き当てと、ドリフト・未知モデルを毎晩監査する仕組みまで解説します。

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「先月の Google Cloud の請求書を開いたら、Gemini API の項目だけ予想の倍だった」— 個人開発で Gemini API を使い始めて半年ほどが経った頃、私はこの体験をしました。原因を調べようと管理コンソールを掘り下げても、リクエスト単位の内訳までは出てきません。結局はアプリ側で usageMetadata を記録していなかったことが、再発防止できない最大の理由でした。

usageMetadata は Gemini API のレスポンスに常に含まれている地味なフィールドですが、これを 1 リクエストずつ保存しておくだけで、後から「どのエンドポイント」「どのユーザー」「どのモデル」が請求の何割を占めているのか、ほぼ完璧に再現できます。ここでは私が個人プロジェクトで実際に運用している記録パターンと、Google Cloud の請求書と突き合わせる方法を共有します。

usageMetadata に含まれるフィールドを正確に把握する

最初につまずくのは、usageMetadata のフィールドが思った以上に多いことです。Python SDK(google-genai)でレスポンスを print するとこのような構造になっています。

from google import genai
 
client = genai.Client(api_key="YOUR_API_KEY")
resp = client.models.generate_content(
    model="gemini-2.5-flash",
    contents="Gemini API のコスト管理について200字で教えてください",
)
 
print(resp.usage_metadata)
# UsageMetadata(
#   prompt_token_count=18,
#   candidates_token_count=210,
#   cached_content_token_count=0,
#   thoughts_token_count=0,
#   tool_use_prompt_token_count=0,
#   total_token_count=228
# )

それぞれの意味は次の通りです。

  • prompt_token_count — 入力プロンプト全体のトークン数。System Instructions や履歴も含む
  • cached_content_token_count — Context Caching を使ったときにキャッシュから読み込んだトークン数(通常入力の 25% 程度の単価)
  • candidates_token_count — モデルが生成した出力トークン数。candidate_count が 2 以上なら全候補の合計
  • thoughts_token_count — Gemini 2.5 系の Thinking 出力トークン数。料金は出力トークンと同じ単価で課金される
  • tool_use_prompt_token_count — Function Calling や Code Execution の内部処理で消費した入力トークン
  • total_token_count — 上記すべての合計

ここで重要なのは「total_token_count を見るだけでは料金は計算できない」という事実です。同じ 1,000 トークンでも、入力・出力・キャッシュ済み・思考でそれぞれ単価が違うため、フィールドごとに分けて記録しないと請求書と一致しません。

1 リクエストずつ JSON ログに残す

私が運用している方法はシンプルで、API 呼び出しのラッパー関数で usageMetadata を JSONL ファイルに追記するだけです。「あとで集計するから今は保存しておく」という割り切りが、月末になって最も助かります。

import json
import time
from pathlib import Path
from google import genai
 
LOG_PATH = Path("logs/gemini_usage.jsonl")
LOG_PATH.parent.mkdir(exist_ok=True)
client = genai.Client(api_key="YOUR_API_KEY")
 
def call_gemini_logged(model: str, prompt: str, *, user_id: str, endpoint: str):
    """usageMetadata を必ず JSONL に追記してから返すラッパー"""
    started = time.time()
    resp = client.models.generate_content(model=model, contents=prompt)
    um = resp.usage_metadata
 
    record = {
        "ts": time.time(),
        "elapsed_ms": int((time.time() - started) * 1000),
        "user_id": user_id,
        "endpoint": endpoint,
        "model": model,
        "prompt": um.prompt_token_count,
        "cached": um.cached_content_token_count or 0,
        "candidates": um.candidates_token_count or 0,
        "thoughts": um.thoughts_token_count or 0,
        "tool_use": um.tool_use_prompt_token_count or 0,
        "total": um.total_token_count,
    }
    with LOG_PATH.open("a", encoding="utf-8") as f:
        f.write(json.dumps(record, ensure_ascii=False) + "\n")
 
    return resp
 
# 使用例
resp = call_gemini_logged(
    model="gemini-2.5-flash",
    prompt="今日の天気を一言で",
    user_id="u_001",
    endpoint="/api/weather/summary",
)
print(resp.text)

JSONL を選ぶ理由は 2 つあります。1 つは追記書き込みが原子的に近く、複数プロセスから書いてもログが壊れにくいこと。もう 1 つは、後で SQLite や DuckDB に取り込むのが read_json_auto() 一発で済むことです。

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Gemini 3.5 Flash GA で既定モデルが動いても請求と一致し続けるよう、resp.model_version(実際に応答したモデル)を記録の基点にコスト集計を作り替える手順
単価表に無い model_version を例外で検知する監査ジョブ — 未知モデルを Pro 単価へ無言フォールバックさせない実装
要求と異なるモデルで応答された割合を毎晩可視化し、既定モデル切り替えを月末でなく当日に気づくドリフト監査
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