9月15日の Google Workspace Updates を読み返していて、ある一行で手が止まりました。個人アカウントでは、日本は対象外と書かれていたのです。
Gmail の検索窓に自然な文で質問すると、メールの中身から作った要約が検索結果の上に出る機能です。ストアから届く審査結果やレビュー通知のメールを、あとから探すときに役立ちそうだと思っておりました。ところが条件を順に追っていくと、使える人と使えない人がはっきり分かれる作りになっていました。
最初にお伝えしたいのは、出ない理由は「待てば解決する」ものばかりではない、ということです。公式が示した展開の期間は9月のうちに終わっています。11月のいま出ていないのなら、待つより先に、自分の側の条件を確かめるほうが近道です。
展開の待ち時間は、もう理由になりません
告知には、展開のペースがトラック別に書かれていました。
| 対象 | 展開の始まり | 画面に出るまでの目安 |
|---|---|---|
| Rapid Release の組織 | 9月3日 | 段階的に展開、最大15日 |
| Scheduled Release の組織 | 9月21日 | 全体に展開、1〜3日 |
| 個人の Google アカウント | 9月3日 | 段階的に展開 |
ここで日付を足すと、Rapid Release でも9月中旬、Scheduled Release でも9月下旬には終わっている計算です。告知から1か月以上が過ぎていますので、「まだ順番が来ていないだけ」という説明は、公式の記載とは合わなくなります。
ただし、Google のヘルプには、段階的に展開されていて自分には使えないことがある旨の注意書きが残っています。展開の待ちを自分で数える方法は、別の記事に書き残しました。Gemini の新機能が Workspace に出てこないとき、待ちと不具合を切り分ける順序をご覧ください。この記事では、待ちを除いたあとの確認に絞ります。
確認1 — アカウントの種類とプランを見る
いちばん先に見るのは、この機能の対象になるアカウントかどうかです。ヘルプには次のように書かれています。
- 個人アカウント: Google AI Plus・Pro・Ultra のいずれかが必要です。Google Workspace Experiments(信頼できるテスター向けのプログラム)に参加している場合も使えます
- 仕事・学校のアカウント: 対象の Workspace プランが必要です。告知では Business の Starter・Standard・Plus、Enterprise の Starter・Standard・Plus、Frontline Plus などが挙がっていました
見落としやすいのは、個人アカウントについての地域の制限です。ヘルプには、欧州経済領域、日本、スイス、英国に住んでいる場合は使えない、と書かれています。つまり日本にお住まいで、個人の Gmail に有料の Google AI プランを契約していても、この機能は出ません。契約や設定を疑いたくなるかもしれませんが、どちらの問題でもありません。
一方で、この制限は個人アカウントについての記載です。仕事用のアカウントで出ないときは、地域ではなく、次のスマート機能と管理者の設定を疑います。
確認2 — スマート機能のスイッチを2つとも見る
対象のアカウントなのに出ない場合、次はスマート機能です。告知の利用者向けの説明では、次の2つの両方がオンになっている必要があるとされています。
- Gmail、Chat、Meet のスマート機能("Smart features in Gmail, Chat, and Meet")
- Google Workspace のスマート機能("Google Workspace smart features")
片方だけオンになっていて、もう片方がオフ、という状態は珍しくありません。個人開発でストアからのメールを扱う身としても、似た名前の項目が別々の場所に並ぶと、どちらを触ったのか分からなくなりがちだと感じます。2つあるという前提で、それぞれ見に行くのが確実です。
オンにする前に、一点だけご注意ください。ヘルプによれば、スマート機能をオフにすると、ほかの Workspace の AI 機能も一緒にオフになります。反対にいえば、これまで何かの理由でオフにしていた方は、オンに戻した時点で、ほかの機能も動き始めます。
仕事用のアカウントの場合は、管理者側にも条件があります。告知では、"Gemini for Workspace in Gmail" と "Workspace Intelligence access to Gmail" の両方が有効なら、この機能は既定でオンになるとされています。ここは利用者からは見えませんので、次の項で文面を用意しました。
確認3 — 表示言語を疑う
告知の文面は、今回の拡大を「Gmail の言語が英語に設定されている、有料プランの利用者」への拡大としています。以前は米国でかつ英語の利用者に限られていた、という説明も添えられていました。
一方、ヘルプには、ほかの言語でも使える旨の記載があり、対応言語は別のページにまとめられています。日本語の表示で使えるかどうかは、私の側では確認できていません。ここは推測で書かず、ヘルプの対応言語のページを見ていただければと思います。
切り分けの手段としては、Gmail の表示言語をいったん英語にして、同じ検索を試す方法があります。それで出るなら言語が原因、出ないなら別の条件です。試したあとは、表示言語を元に戻しておきます。
確認4 — 検索の書き方を変えてみる
アカウントも設定も問題ないのに出ない、という場合が最後に残ります。ヘルプには、見落としやすい点が2つ書かれていました。
- 検索演算子を使うと、AI の概要は出ません。
is:unreadやfrom:を入れた検索が、これに当たります - 自然な文での質問に最適化されています。出ないときは、より具体的な言い回しで、質問の形にします
検索の癖で、つい from: を先頭に打つ方は多いのではないでしょうか。毎回「出ない」と思い込んでいたとしても、不思議ではありません。たとえば次のように書き換えます。
(出ない例) from:store-notice is:unread 審査
(試す例) 先週届いた審査結果のメールには、何と書いてありましたかパソコンの Gmail で、検索窓に入力して Enter を押す、という手順です。ヘルプの記載がパソコン版を前提にしていますので、スマートフォンで出ないときは、まずパソコンで試すことをおすすめします。
管理者に聞くときの文面
ここまで確認して出ない場合は、管理者に聞く段階です。確認した結果を先に書いておくと、返事が早くなります。
件名: Gmail 検索の AI Overviews が表示されない件の確認のお願い
Gmail 検索の AI Overviews が、私のアカウントで表示されません。
以下は確認済みです。
- 展開期間(9月3日〜9月下旬)は過ぎています
- 「Gmail、Chat、Meet のスマート機能」と
「Google Workspace のスマート機能」は両方オンです
- 検索演算子を使わず、質問の文だけで試しました
お手数ですが、次の2点を確認いただけますか。
1. Gmail の Gemini for Workspace が有効になっているか
2. Workspace Intelligence の Gmail へのアクセスが有効になっているか確認していない項目を「確認済み」と書かないことだけは、守ってください。文面が事実と違うと、管理者の側で原因を取り違えてしまいます。
4か所を順に見るとき
最後に、見る順番を一枚にまとめます。
| 順番 | 見る場所 | ここで分かること |
|---|---|---|
| 1 | アカウントの種類・プラン・地域 | そもそも対象かどうか |
| 2 | スマート機能の2つの設定 | 自分の側で直せる原因 |
| 3 | 表示言語 | 言語による差の有無 |
| 4 | 検索の書き方 | 演算子による抑止 |
見えない機能は、管理者に聞く前に、自分の側の条件を上から順に潰しておきます。 この線引きを守ると、問い合わせの文面も短くなりますし、「対象外」という答えを早く受け入れられます。
次に試していただくなら、検索窓から is:unread などの演算子を外して、質問の一文だけを入れてみてください。それで出るなら、原因は検索の書き方でした。出ないなら、アカウントの種類から順に辿り直します。私自身も、この順番を基準に確かめていくつもりです。