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開発ツール/2026-08-30上級

モデル廃止日をまたぐ古い端末に、読み替えではなく拒否を返す設計

モデルが止まっても、配布済みのアプリは止まりません。後継へ黙って差し替えるか、明示的に断るか。出力契約を軸に廃止台帳を作り、残存曲線から自分の締切日を逆算するまでの実装と計測をまとめました。

Gemini API233モデル廃止3個人開発114リリース運用2HTTP

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Crashlytics で上がってきたクラッシュの、スタックトレースの一番上が表示直前の変換関数でした。ネットワーク層でも、レスポンスの復号でもありません。カテゴリ名を画面のラベルへ移す、十数行の関数です。

原因は、その関数から遠く離れた場所にありました。サーバー側で古いモデル ID を後継へ読み替えていて、後継が返すカテゴリ体系が増えていたのです。

読み替えは親切のつもりでした。廃止されたモデルを指したリクエストが 410 で落ちるより、後継につないだほうが動き続けます。実際、ほとんどのリクエストは動き続けていました。だから見つからなかったのだと、後になって理解しました。

「ほとんど動く」がいちばん見つけにくい状態です

古いクライアントが期待していたカテゴリは6種類で、後継モデルは8種類を返すようになっていました。増えた2つは全体の一部にしか現れません。手元で分布を再現して数えてみます。

import json, random
 
V12 = {"nature","abstract","city","animal","art","minimal"}          # 旧クライアントの体系
V20 = list(V12) + ["japanese","texture"]                              # 後継モデルの体系
 
def client_v12_parse(body):
    obj  = json.loads(body)                                           # 層1: 転送と JSON
    text = obj["candidates"][0]["content"]["parts"][0]["text"]
    rec  = json.loads(text)                                           # 層2: 構造化出力
    if rec["category"] not in V12:                                    # 層3: 表示直前の変換
        raise ValueError("unknown category: %s" % rec["category"])
    return rec["category"]
 
def make_response(category):
    inner = json.dumps({"category": category, "confidence": 0.9})
    return json.dumps({"candidates":[{"content":{"parts":[{"text": inner}]}}]})
 
random.seed(20260830)
sample = [random.choices(V20, weights=[22,18,14,12,10,10,9,5])[0] for _ in range(1000)]
 
ok = enum_err = 0
for c in sample:
    try:
        client_v12_parse(make_response(c)); ok += 1
    except ValueError:
        enum_err += 1
print(ok, enum_err)      # -> 849 151

1,000件のうち849件は通ります。壊れるのは151件、約15%です。

全部壊れるほうが、まだ扱いやすかったと思います。15%であれば、ユーザーからは「たまに分類されない」としか見えません。私の側では、リリース直後の変更が疑われます。実際に変わったのはサーバー側の読み替え設定で、アプリのコードは一行も動いていませんでした。

例外が出る場所に、モデル ID は現れません

もう一つ厄介なのは、例外が上がる場所です。同じコードを実際に落として、フレームを並べてみます。

import traceback, sys
try:
    client_v12_parse(make_response("japanese"))
except Exception:
    for i, f in enumerate(traceback.extract_tb(sys.exc_info()[2])):
        print("frame%d: %s() line %d" % (i, f.name, f.lineno))
# frame0: <module>()          line 24
# frame1: client_v12_parse()  line 12

実際のアプリではこの間にビューモデルの生成が挟まりますから、報告される関数はさらに表示側へ寄ります。どの経路をたどっても、送信したモデル ID はスタックのどこにも現れません。

クラッシュの分類を自動化していても同じです。文字列としてのスタックトレースには、廃止されたモデルを指し続けていた事実が残っていないのですから。原因が API 側にあるとき、報告される場所は必ず遠くなります。

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後継モデルへ黙って差し替えてよい条件を、モデルの系譜ではなく出力契約の側から決められるようになり、廃止日のあとで原因の見えない不具合を抱え込まずに済みます
配布済みアプリの残存を見込んで、公表された廃止日から自分側の締切日を逆算し、リリース計画に置けるようになります
静かな読み替えでは1,000件のうち849件がそのまま通ってしまう計測結果から、なぜ発見が遅れるのかをチームや自分自身に説明できるようになります
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