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◈ API / SDK/2026-05-04上級

Gemma 4 と Nemotron 3 Nano Omni を、総合スコアではなく自分の画像100枚で採否判定する

日本語マルチモーダルのローカル運用を検討するとき、Heron-Bench や JMMMU の総合スコアは採否の材料になりません。壁紙アプリの分類を題材に、100枚の評価セットの組み方・誤りのコストで重み付けした判定・量子化更新での回帰検知までを動くコードで組み立てます。

Gemma 412Nemotron 3 Nano OmniマルチモーダルAIGemini API248評価設計本番運用49日本語LLM

✦ プレミアム記事

App Store と Google Play で配信している壁紙アプリでは、届いた画像を30ほどのカテゴリへ振り分ける処理を Gemini API に任せています。日々の新規分はたいした量ではありません。問題になるのはカテゴリ定義を見直したときで、約38,000枚を全件かけ直すことになります。1回あたり約¥3,400、所要およそ5時間。年に3〜4回は発生します。

この全件再分類をローカルに寄せられないか、と考えたのが始まりでした。

Gemma 4 のマルチモーダル変種は Apache 2.0 で商用利用が自由ですし、NVIDIA の Nemotron 3 Nano Omni は視覚・音声・言語を1モデルに統合して30B総パラメータ(アクティブ3B)で動きます。公開されているベンチマークの数字を眺めていると、素直に「これはもう十分では」と思えてきます。私も一度そう思いました。

思ったうえで、自分の画像100枚で測りました。結論はきれいに反転しました。

反転したのは一致率が低かったからではありません。一致率は悪くなかったのに、外し方が悪かったからです。その差がどこで生まれ、どう測れば事前に見えるのかを、実際に使ったコードとあわせて書いていきます。

3つのモデルを、混同しないところから

最初に立ち位置だけ揃えておきます。ここを曖昧にしたまま比較すると、後の数字が読めなくなります。

Gemini API(Gemini 3.x 系): クラウドのフロンティアモデル。この記事の測定は gemini-3.5-flash を版として固定したうえで行いました。ラインナップはそのあとも進んでいて、いまは gemini-3.8-flash が一般提供に入っています。日本語マルチモーダル理解の安定性では、世代が変わっても明確に頭ひとつ抜けています。従量課金で、画像を含む呼び出しはテキストのみより高くつきます。なお gemini-flash-latest が指す実体は世代交代のたびに入れ替わりますから、比較の土台としては扱いに注意が要ります(後半の節で扱います)。

Gemma 4(26B A4B / 31B Dense など): ローカル・オンプレ向けの中規模オープンモデル。Apache 2.0 で商用利用自由。マルチモーダル変種は画像理解と音声理解に対応し、手元のワークステーションで動く規模感です。

Nemotron 3 Nano Omni: NVIDIA のオムニモーダル統合モデル。視覚・音声・言語を単一アーキテクチャで扱う設計で、エッジAIエージェント向けに最適化されています。アクティブパラメータが3Bと小さく、DGX Spark クラスの機器で動作します。

注意したいのは、Nemotron の「オムニ」はモダリティを跨ぐ処理で効く設計だという点です。静止画1枚から単一ラベルを引くだけの私の用途では、その強みが発揮される場面がそもそもありません。あとで実際にそういう数字が出ます。

総合スコアが「自分の用途」を代表しない仕組み

日本語マルチモーダルの評価では Heron-Bench と JMMMU がよく参照されます。どちらも良いベンチですが、採否の材料として総合スコアを使うのは筋が悪いです。

Heron-Bench は画像説明・OCR・図表理解といったサブタスクの集合で、公開されるのはその加重平均です。JMMMU は日本語版 MMMU にあたり、大学入試レベルの多分野問題を画像とテキストで解かせます。学術的な理解力を測るには適した設計です。

ここで自分の用途を並べてみます。私がやらせたいのは「画像1枚 → 30カテゴリのうち1つ」だけ。OCR は要りません。図表理解も、多段推論も、縦書きの認識も要りません。

つまり総合スコアを構成する要素の大半が、私の用途と無関係です。総合で2ポイント差があっても、その差が私の使うサブタスクの外側で生まれているなら、判断材料としては何も言っていないのと同じことになります。

逆もあります。総合では負けているモデルが、自分のサブタスクだけ見れば勝っている、ということが普通に起こります。

ベンチマークは「どのモデルが世界的に賢いか」を測る道具です。「このモデルを自分の本番に入れてよいか」を測る道具ではありません。後者を測れるのは、自分のデータだけです。

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✦総合一致率82%でも不採用になる理由 — 誤りのコストで重み付けした採否判定とコスト行列の引き方
✦量子化を Q4 から Q5 に上げたら一致率は改善したのにコスト重み付き誤りが悪化した実測と、その回帰検知ジョブ
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