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API / SDK/2026-07-04上級

公開前に「意味が近すぎる過去記事」を弾く — Gemini Embedding でトピック共食いを防ぐ類似ゲート

記事数が数百本を超えると、新しく書いた記事が過去記事と検索面で共食いを起こします。gemini-embedding-2 で本文の意味ベクトルを持ち、公開前にコサイン類似で近すぎる既存記事を弾くゲートを、動くコードと閾値の決め方まで実装します。

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記事を書き終えて公開ボタンに手をかけた瞬間、「これ、前にも似たようなことを書いた気がする」と手が止まった経験はないでしょうか。私自身、個人開発で複数の技術ブログを回していると、コーパスが数百本を超えたあたりから、この既視感が頻繁に起きるようになりました。

やっかいなのは、タイトルも slug も違うのに、検索エンジンから見ると「ほぼ同じ問いに答える2本」になっているケースです。これは SEO の世界でキーワードカニバリゼーション(共食い)と呼ばれ、両方の記事の掲載順位が中途半端に下がる原因になります。人間の目視レビューでは、600本のうちどれと近いのかを毎回照合しきれません。

そこで私が実際に組んだのが、公開前に本文の意味ベクトルを既存記事群と突き合わせ、近すぎる記事があれば差し戻す「類似ゲート」です。画像の近重複を弾く仕組みは画像の近重複ゲートを作る記事で扱いましたが、今回はその文章版にあたります。gemini-embedding-2 の意味埋め込みを使い、閾値の決め方と誤検知の潰し方まで、運用で効いた順にお伝えします。

なぜ「キーワード一致」や「タイトル比較」では取りこぼすのか

最初に試したのは、タイトルと description の文字列一致でした。ところがこれは、ほとんど役に立ちませんでした。「Gemini API のコストを削る」と「Gemini の課金を月末に膨らませない設計」は、共通する単語がほぼないのに、読者の検索意図はほぼ同じです。逆に「Gemini でコストを削る」と「Gemini で画像を圧縮する」は「コスト」「Gemini」を共有しますが、まったく別の記事です。

表層の単語では、意味の距離を測れません。ここが埋め込み(embedding)の出番になります。埋め込みは文章を高次元のベクトルに変換し、意味が近い文章ほどベクトル空間上で近い位置に配置します。単語が一つも重ならなくても、「同じことを別の言い方で書いている」記事を、コサイン類似度という一つの数値で捉えられるようになります。

私の場合、この違いが如実に出たのは運用系の記事群でした。表現を変えながら似た運用ノウハウを書いていた3本が、文字列一致ではまったく引っかからず、埋め込みでは相互に 0.9 前後という高い類似度で並んだのです。

何を埋め込むか — 本文全体は逆効果になる

素朴に本文全文を1本のベクトルにすると、精度がむしろ落ちます。長い記事はコード例や余談で薄まり、核心のトピックがベクトルの中で埋もれるためです。試行錯誤の末、私が落ち着いたのは次の構成です。

  1. タイトル
  2. description(記事の主旨を160字で凝縮した一文)
  3. すべての H2・H3 見出し(記事の骨格そのもの)

この3要素を連結した「トピック要約テキスト」を埋め込みます。見出しは著者が意識的に付けた記事の設計図なので、本文の枝葉より意味の芯をよく表します。コード例や引用は意図的に外します。

import re
from pathlib import Path
 
def build_topic_text(mdx_path: Path) -> str:
    """MDX からトピック要約テキスト(タイトル+description+見出し)を組み立てる"""
    text = mdx_path.read_text(encoding="utf-8")
    m = re.match(r"^---\n(.*?)\n---\n(.*)$", text, re.DOTALL)
    front, body = m.group(1), m.group(2)
 
    def fm(key: str) -> str:
        mm = re.search(rf'^{key}:\s*"?(.*?)"?\s*$', front, re.MULTILINE)
        return mm.group(1) if mm else ""
 
    # コードブロックを除去してから見出しを抽出する
    body_no_code = re.sub(r"```.*?```", "", body, flags=re.DOTALL)
    headings = re.findall(r"^#{2,3}\s+(.*)$", body_no_code, re.MULTILINE)
 
    parts = [fm("title"), fm("description")] + headings
    return "\n".join(p for p in parts if p)

出力は「タイトル+主旨+全見出し」を改行で並べた1本のテキストになります。これを次のステップでベクトル化します。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
タイトル一致では見抜けない「意味が近すぎる記事」を、gemini-embedding-2 のコサイン類似で公開前に検出できるようになる
670本規模の実コーパスで効いた閾値(0.88で要判断・0.92で差し戻し)と、境界域だけ Gemini に判定させる二段構えの動くコードを手に入れられる
セクション単位のチャンク化・増分再インデックス・SQLite保存まで含めた、成長し続ける記事群を共食いさせない運用パターンを組める
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