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◈ API / SDK/2026-06-30上級

長尺の音源を Gemini に「聴かせて」章立てを作る — タイムスタンプ付き構造化抽出の実装

1時間を超えるヒーリング音源を手作業で章立てしていた作業を、Gemini の音声理解でタイムスタンプ付きの構造化データに置き換えた実装記録です。Files API での長尺アップロード、response_schema での JSON 固定、そして実際にハマったタイムスタンプのずれ・幻の無音区間を検証で潰すところまで、動くコードで残します。

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✦ プレミアム記事

個人開発で運営しているヒーリング音アプリで、40分から80分ほどの長い音源に「章」を付ける作業がずっと手作業でした。波の音が遠ざかってピアノが入る境目、無音に近い余韻が続く区間、ナレーションが始まる位置——そういう切れ目を聴きながらメモして、再生位置の秒数を手で書き写す。1曲あたり15分、新譜をまとめて入れた週は半日が消えていました。

この「人が耳で位置を拾う」工程を、Gemini の音声理解にそのまま渡せないか試したのが今回の記録です。文字起こしの話ではありません。狙いは、音源を聴かせて「00:00〜04:30 は環境音の導入」「12:10 から無音に近い余韻」のような、再生位置(タイムスタンプ)と内容がひも付いた構造化データを受け取ることです。

結論から言うと実用になりました。ただしそのまま信じてはいけない癖が音声には複数あり、検証コードを挟んで初めて運用に乗りました。順番に残します。

なぜ文字起こしツールではなく音声理解なのか

最初は専用の文字起こしAPIに無音検出を組み合わせることも考えました。やめた理由は単純で、私が欲しいのは「言葉」ではなく「場面の切れ目」だからです。ヒーリング音源はそもそも喋っていない区間が大半で、文字起こしは空振りします。一方で Gemini の音声理解は、音そのものを文脈として受け取り「環境音が主体」「ピアノのモチーフが反復」といった非言語の記述を返してくれます。ここが転機でした。

加えて、出力を response_schema で固定できるので、後段のアプリ(章ジャンプUIや無音トリミング)が安心して食べられる JSON がそのまま手に入ります。文字起こし+自前ヒューリスティックの2段構えより、結果的にコードがずっと短くなりました。

前提と料金感

使うのは新しい google-genai SDK です。音声は1秒あたりおおよそ32トークン換算で課金されるため、80分の音源なら入力だけで約15万トークンになります。これは決して無視できない量で、何度も投げ直すと地味に効いてきます。私は下調べと章立てを gemini-flash-latest(2026年6月時点で 3.5 Flash を指すエイリアス)で回し、本番運用では日付付きモデルにピン留めしています。エイリアスは中身が入れ替わるので、出力の安定が要る工程では固定するのが安全です。

実際に手元の音源で計測したトークンとおおよその所要時間です。モデル価格は変動するので、絶対額ではなく「長さに比例して効く」感覚をつかむ目的で見てください。

音源の長さ入力トークン(実測)章立て1回の所要備考
8分約 15,0006〜9秒インライン送信でも収まる範囲
42分約 80,00018〜26秒Files API 推奨
78分約 150,00030〜48秒Files API 必須・再投げのコストが痛い

20MB を超える音声はリクエストへの直接添付ができないため、長尺は Files API でアップロードしてから参照します。私の音源は WAV だと数十MB になるので、実質すべて Files API 経由です。

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この記事で得られること
✦1時間超の音源を手で聴き直して章を切っていた人が、Gemini にタイムスタンプ付きで章立てさせる動くパイプラインを今日から回せる
✦Files API での長尺アップロード・response_schema での JSON 固定・MM:SS タイムスタンプの取り扱いを、コピペで動く形で習得できる
✦モデルが返すタイムスタンプのずれ・実在しない無音区間といった、音声特有の落とし穴を検証コードで機械的に弾けるようになる
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