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API / SDK/2026-09-04中級

ループ音源のプチノイズは、Gemini に聴かせる前に波形の端で切り分けられます

環境音のループ再生で折り返しだけがプチッと鳴る。音声理解に丸ごと投げる前に、波形の端の段差を内部の変化量で正規化してふるい分ける手順と、配布形式への変換で継ぎ目が作り直される落とし穴をまとめました。

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差し替えたばかりの環境音を、寝る前にイヤホンで流していたときでした。十秒ほどで折り返す短いループなのですが、その折り返しの一点だけ、ごく小さくプチッと鳴ります。

デスクのスピーカーでは分かりません。翌朝もう一度スピーカーで確かめて、聞こえないので気のせいだと思い、また夜にイヤホンで気づく——それを二日ほど繰り返しておりました。

個人開発で運用しているヒーリング音源アプリは、就寝中に何時間もループを回す使われ方をします。一回では聞き取れない小さな段差でも、四百回繰り返せば必ず誰かの耳に届いてしまうのです。

最初に音声理解へ投げて、返ってこなかったもの

手元に Gemini API の環境が整っていたので、私はまず音源をそのまま渡しました。「不自然に聞こえる箇所があれば、その時刻とともに教えてください」という素直な依頼です。

返ってきたのは、音の質感や情感についての落ち着いた説明でした。低音の厚み、余韻の長さ、繰り返しの単調さ。どれも読んで納得できる内容で、しかし私が探している十ミリ秒に満たない段差については、ひと言もありません。

二度、三度とプロンプトを変えても同じでした。「クリック音」「不連続」といった語を明示しても、モデルは音楽的な印象の側から答えを組み立ててきます。

いま思えば当然でした。音声理解は意味と印象の層を担当しているのであって、標本値の並びが一サンプル単位で跳んでいるかどうかを見る道具ではないのです。私は道具の担当範囲を勘違いしたまま、プロンプトの書き方を疑っておりました。

波形が壊れているかは自分が数え、壊れて聞こえるかを Gemini に訊く。 この順番を逆にしていたことが、二日を溶かした原因でした。

段差の絶対値では決められません

継ぎ目の段差そのものは、素朴に計算できます。ループの末尾サンプルと先頭サンプルの差を取るだけです。

けれども、この絶対値にしきい値を置く方法は、私の手元ではうまくいきませんでした。静かなパッド系の音源と、雨音のようにざわついた音源とでは、内部で普段起きている変化量がまるで違うからです。

雨音では隣り合うサンプルが常に大きく動いています。そこに 0.05 の段差があっても、耳には埋もれて聞こえません。一方で静かなパッドに 0.05 の段差が入ると、はっきりプチッと鳴ります。

そこで、段差を「その音源の内部で普段どれくらい動いているか」で割ることにしました。分母には、隣接サンプル差の分布の 99.9 パーセンタイルを使います。最大値ではなく上位のパーセンタイルを取るのは、素材にもともと入っている一発の物音に引きずられないためです。

指標意味使いどころ
jump末尾サンプルと先頭サンプルの差の絶対値参考値。単独では判定に使いません
p999_step隣接サンプル差の 99.9 パーセンタイルその音源の「普段の動きの上限」
ratiojump ÷ p999_step判定の主指標。1 を超えたら人が聴きます
edge_rms先頭と末尾 10 ミリ秒の実効値端が無音の素材を別扱いにするため

edge_rms を別に持っているのには理由があります。端が無音の素材は段差が原理的にゼロになり、ratio は必ず合格します。合格したから安全なのではなく、そもそも判定の土俵に乗っていないだけです。この二つを混同すると、無音で始まる素材が全部素通りしてしまいます。SILENT_EDGE が返ったときだけは扱いを分けており、この場合は段差ではなくループ長そのものと無音の長さを確かめます。

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ループ音源の継ぎ目ノイズを、耳で探し回る前に数値でふるい分けられるようになる
波形の段差を直したのに配布形式へ変換すると鳴り出す落とし穴を、公開前に自分で検出できるようになる
音声理解に渡す区間を継ぎ目の前後だけに絞り、判定にかかる音声トークンを秒数から見積もれるようになる
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