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◈ API / SDK/2026-06-19上級

日英2版を1回の構造化出力でまとめて生成し、用語の対訳ブレを止める運用設計

日本語版と英語版を別々に生成すると用語の訳が記事ごとにブレます。Gemini 3.5 Flash の構造化出力で日英をペアにして1コールで生成し、用語集をピン留めしてブレを機械検出する運用を、実測値とともにまとめます。

Gemini API242構造化出力18多言語6responseSchema6Gemini 3.5 Flash3

✦ プレミアム記事

同じ記事の日本語版と英語版を別々に生成していた頃、私が一番削られていたのは校正の時間でした。個人開発の Dolice で日英ペアのブログ記事を回していると、本文の中身は合っているのに「ストリーミング」が片方で streaming、もう片方で incremental delivery になっている、といった細かな対訳ブレが毎回どこかに残ります。読者にとっては小さな引っかかりですが、用語が記事ごとに揺れると、サイト全体の信頼感が静かに削られていきます。

このブレの大半は、日本語と英語を独立した2回の呼び出しで作っていたことが原因でした。モデルは1回ごとに「その場で一番自然な訳語」を選ぶので、呼び出しが分かれていれば訳語も分かれます。そこで私自身の運用では、日英を1つの構造化出力にまとめ、用語集を先に固定してから生成する形へ切り替えました。本稿はその設計と、切り替えで何がどれだけ変わったかの記録です。

別々に生成すると、対訳のどこがズレるのか

最初に、どこがズレるのかを切り分けておくと対策が立てやすくなります。日英を独立に生成したとき、ブレが出やすかったのは次の3か所でした。

  1. 製品・機能の訳語(例:「思考」を thinking と reasoning で揺らす)
  2. UI ラベルやボタン文言(「保存」を Save / Store / Keep で揺らす)
  3. 見出しの粒度(日本語は8見出し、英語は6見出しに勝手に要約される)

特に厄介なのは3つ目です。本文の意味は合っているのに構成が一致しないと、言語切り替えで読者が「同じ記事に戻ってこられない」感覚になります。私のサイトは日英で URL を対にしているため、構成のズレはそのまま体験の段差になりました。

ブレの根は「2回の呼び出しが互いの結果を知らない」点にあります。であれば、両方を1回の出力に入れて、モデルに同時に決めさせるのが筋の良い対処になります。

1コールにまとめる前に決めること

スキーマを書く前に、2つだけ先に固定します。これを後回しにすると、構造化出力にしてもブレは残ります。

第一に「用語集(glossary)」です。記事内で揺らしたくない語を、日本語・英語・短い使用条件の3列で持ちます。第二に「出力契約(output contract)」です。日英で必ず一致させるフィールド(見出し数、コードブロックの本数など)を決めておきます。

用語集は外部ファイルで持ち、生成時に読み込みます。最小構成は次の通りです。

{
  "glossary": [
    { "ja": "思考", "en": "thinking", "note": "Gemini の thinking 機能。reasoning とは訳し分けない" },
    { "ja": "構造化出力", "en": "structured output", "note": "responseSchema 利用時の総称" },
    { "ja": "用語集", "en": "glossary", "note": "本記事の主題。vocabulary とは訳さない" }
  ],
  "contract": { "min_sections": 6, "lang_pair": ["ja", "en"] }
}

この時点で「何を一致させたいか」が言語化されているので、あとはスキーマと検証に落とすだけになります。

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この記事で得られること
✦日英ペアを1つの responseSchema にまとめ、2コールを1コールへ統合する具体的なスキーマ設計
✦用語集を system instruction にピン留めし、対訳ブレを約45%減らした実測と検証コード
✦出現チェックと長さ比でズレを機械検出し、部分再生成へ縮退させる本番フロー
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