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開発ツール/2026-05-28上級

Gemini API のローカル開発を msw と HTTP フィクスチャで再生する — 6 サイト並行で API クォータを圧縮した記録/再生パターン

Gemini API を呼ぶ UI を毎回本物の API で確認していると、1 日に数百回の重複呼び出しが発生します。msw でフィクスチャを再生する仕組みを 6 サイトに導入したら、月の Gemini API 課金が想像以上に静かになりました。記録/再生の実装と運用ポリシーをまとめています。

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朝のコーヒーが冷め始めた頃に GUI を作りこんでいて、ふと API 利用ダッシュボードを開いたら、まったく同じプロンプトを 80 回叩いた跡が残っていました。新しいローディング表示のリラックスした弾み方を確認したかっただけなのに、私の指は generateContent ボタンを 80 回押していたわけです。アーティスト・クリエイターの廣川政樹です。Dolice Labs の 4 サイトに加え別ジャンルのブログ 2 サイトを合わせて 6 サイトを個人で並行運営している関係で、Gemini API への「無意識の課金」を減らす仕組みづくりに、ここ数週間まとまった時間を投じています。

ローカルで UI を試すたびに API を叩く設計は、コードレビューの観点では当たり前のように見えます。けれども 6 サイトを横断して同じ問題を観察し続けると、UI 検証と評価検証が同じ API クライアントを共有しているせいで、本来なら 1 日 10 回で足りる「本物の呼び出し」が、UI 試行に紛れて 100 回以上発生しているのが分かりました。msw(Mock Service Worker)を fetch 層に挟み、HTTP フィクスチャを記録して再生する仕組みに作り直すと、見た目は何も変わらないのに API 呼び出しが静かになり、副作用としてストリーミング UI のバグが見つけやすくなりました。

このノートは「ローカルで UI を素早く回す」「フィクスチャを記録する」「再生時にも本物の挙動に近づける」「評価とフィクスチャを混同しない」という 4 つの軸で、私が 6 サイトに導入した設計と落とし穴を残しておくものです。

ローカルで本物の API を叩くと、何が壊れるのか

最初に整理したいのは「壊れるのは何か」です。本物の Gemini API を毎回叩いて UI を確認していると、表面上は何も壊れません。しかし、3 つの異なる層が静かに腐っていきます。

ひとつ目は イテレーション速度 です。私の壁紙アプリの管理画面では generateContent が約 1.4 秒、ストリーミング応答の完了までは平均 3.2 秒かかります。UI の余白を 4px 詰めるだけで毎回 3 秒待つのは、デザインの集中力をはっきり削ります。

ふたつ目は API クォータと課金 です。2014 年から個人開発を続けてきて、累計 5,000 万ダウンロードを超えるアプリ事業の収益を Lab 4 サイトのインフラ費用に回している身としては、AdMob から振り込まれた利益が無自覚な UI 試行で目減りするのは避けたいところです。Gemini 2.5 Flash は安価ですが、6 サイトの管理画面で UI を回せば月に数千円が「動作確認だけ」に消えます。

3 つ目が一番厄介で、UI のテストカバレッジが落ちる ことです。本物の API を叩くストリーミング UI は、毎回違うレスポンス長で返ってきます。ローディング状態・タイプライタ表示・途中キャンセル・エラーパスの 4 つを意図的に再現したいのに、本物では「いつもそれっぽく動く」状態になり、エッジケースが視界から外れていきます。

この 3 つを一度に解決する方法を 2 ヶ月ほど探しました。結論は「fetch を差し替えて固定レスポンスを返す」だけですが、固定レスポンスを「どう作り、どう保存し、いつ捨てるか」がすべてです。

msw を選んだ理由 — Service Worker と Node の二重対応

似たような目的のライブラリには nock(古い)、undici interceptor(ESM 周りで罠が多い)、miragejs(過剰な ORM 層を持つ)、自作 fetch ラッパー(既存コードへの侵襲が大きい)がありますが、私は msw に揃えました。

理由は 3 つあります。第一に、msw はブラウザ側では Service Worker、Node 側ではネイティブ fetch interceptor として動作するため、Next.js のクライアント/サーバー両側で同じハンドラを共有できます。第二に、既存コードに 1 行も触らずに導入できるので、6 サイトに横展開しても各サイトの本番コードが汚れません。第三に、ストリーミング応答(Server-Sent Events)を「ReadableStream を返すだけ」で扱えるので、Gemini の streamGenerateContent を素直にエミュレートできます。

ひとつだけ注意点があります。msw は Service Worker を public/mockServiceWorker.js に配置する必要があるため、Cloudflare Workers の wrangler dev では Service Worker が動きません。私は wrangler dev 系の検証は本物の Gemini API を叩く方針に切り替え、ローカル UI 検証だけ msw に乗せています。

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この記事で得られること
msw を fetch 層に挟んで Gemini の generateContent / SSE 応答をフィクスチャから再生する具体的な実装
1 日の Gemini 呼び出しを 6 サイト合計で 1,200 回から 80 回に圧縮した記録/再生モードの設計
UI 検証用フィクスチャと評価用フィクスチャを分離する運用ポリシーと、モデル更新時の再記録手順
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