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◈ API / SDK/2026-08-27中級

temperature が効いているかを測るより渡した値を記録する方が先です

非推奨になったサンプリングパラメータは 200 が返るまま無視されます。grep と AST が取りこぼした箇所を実行時に拾い、設定の組み立て元まで記録して CI の合否に変えるまでを、実際に動かした結果とともにまとめます。

Gemini API246temperature4非推奨3静的解析CI7個人開発121

✦ プレミアム記事

更新履歴の一行を読んで、手元のコードを grep したのが最初でした。temperature・top_p・top_k が非推奨になった、という記載です。

3 箇所。思ったより少ない、と安心しかけました。

その安心が間違いだったと気づいたのは、実際に送られているリクエストを覗いたときです。5 箇所ありました。

厄介なのは、この種の変更がエラーとして現れないことです。非推奨のパラメータを付けたリクエストは 200 で返ってきます。値は受け取られたうえで、無視されます。温度を 0 に固定したつもりのコードが、何も固定しないまま動き続けます。例外もログも出ません。

個人開発で使っているツールチェーンを一通り調べたとき、誤った設定キーへの反応がきれいに三層に分かれたことがあります。TypeScript のコンパイラと ESLint は落ちます。wrangler は警告だけ出して先へ進みます。npm と vitest は完全に黙ります。原因にたどり着くまでの時間が一番長くなるのは、いつも三層目でした。

Gemini のサンプリングパラメータ非推奨は、この三層目に当たります。

「効いているか」を測る道は、監査には使えません

公式のフォーラムでも、棚卸しの手段が取り上げられています。実行時に検知する方法がないためです。

素直に思いつくのは、同じプロンプトを temperature 0 と 1 で複数回投げ、出力の散らばりが変わらないことを確かめる方法です。効いていないことを自分の目で確認する手段としては、これで足ります。

ただ、監査の道具にはなりません。私が回している分類系のジョブは、そもそも temperature 1 でも出力がほとんど揺れません。選択肢が閉じた課題では、値を上げても同じ答えが返ります。この場合、分散が変わらないことは「無視されている」証拠にも「効いている」証拠にもなりません。判定が原理的に成り立たない領域が残ります。

そして、測定が成功したところで分かるのは「このジョブでは効いていない」という一点だけです。移行のときに要るのは、そこではありません。どこで何を渡しているかの、漏れのない一覧です。

順番を入れ替えました。効き目を測るのは後回しにして、まず渡した値を記録することにしました。

grep が見つけた 3 箇所

検証のために、設定の作り方が違う 5 つのジョブを用意しました。実際のコードベースで見かける形をひととおり並べたものです。

# app/jobs/a_direct.py — 型付き config に直接渡す
from google.genai import types
 
def build():
    return types.GenerateContentConfig(temperature=0.2, top_k=40)
# app/jobs/b_dict_literal.py — 辞書リテラル
def build():
    return {"temperature": 0.9, "response_mime_type": "application/json"}
# app/jobs/c_assigned.py — 後から代入
def build(t: float):
    cfg = {"max_output_tokens": 512}
    cfg["temperature"] = t
    return cfg
# app/jobs/d_profile.py — 外部 JSON プロファイル由来
from app.common.config import load_profile
 
def build():
    return load_profile("caption")   # caption.json に {"temperature": 0.9, "top_p": 0.95}
# app/jobs/e_merged.py — 共通ヘルパでマージ
from app.common.config import merged
 
def build():
    return merged("extract", candidate_count=1)   # extract.json に {"temperature": 0.0}

この 5 本に対して grep を当てます。

$ grep -rn --include='*.py' 'temperature\|top_p\|top_k' app | wc -l
3

d と e は Python ファイルに文字列が存在しないため、出てきません。

対象を JSON まで広げると 5 行ヒットします。ただし増えた 2 行はプロファイル定義そのものであって、どのジョブがそれを読むかは分かりません。1 つのプロファイルを 3 本のジョブが共有していれば 1 行に見えますし、誰も読んでいない残骸でも 1 行に見えます。箇所の数え上げには使えない情報です。

✦

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✦grep では 3 箇所にしか見えない設定が実際には 5 箇所から送られている、という取りこぼしの構造を自分のコードで確かめられるようになります
✦外部プロファイルや共通ヘルパを経由する設定を、移行の途中で取りこぼす前に監査の穴を塞げるようになります
✦非推奨パラメータの棚卸しが終わったことを、人の記憶ではなく CI の合否として示せるようになります
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