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API / SDK/2026-07-18上級

Managed Agent の長時間走行がサンドボックス再生成で消える前に — チェックポイントと冪等リジュームの設計

Managed Agents のサンドボックスは再生成されます。40分走った処理が振り出しに戻る前に、進捗を外部へ逃がすチェックポイントと、副作用を二度実行しない冪等リジュームを設計します。SQLite で動く実装つき。

Gemini API207Managed Agents8アーキテクチャ14冪等性6運用設計12

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朝、実行ログを開いて手が止まりました。

前夜に投入した集計エージェントが、42分走ったところで消えている。エラーではありません。ただ、走行そのものが途中で終わり、翌朝には別のサンドボックスで最初のステップから走り直そうとしていました。

Managed Agents は、1回の API 呼び出しで Google ホストの隔離 Linux サンドボックスを立て、その中で自律的にエージェントを走らせてくれます。手元にサーバーを持たない個人開発では、この身軽さがありがたい。けれど身軽さには裏側があります。サンドボックスは、私のものではないということ。アイドルのタイムアウト、プラットフォーム側の保守、割り当ての再配置。こちらの都合とは無関係に、実行環境は静かに作り直されます。

在庫していたのは、サンドボックスの中だけに置いた進捗でした。42分ぶんの中間結果は、環境が消えると一緒に消える。振り出しに戻る。

ここから先で扱うのは、その「振り出し」を消すための設計です。進捗を外へ逃がすチェックポイントと、再開しても副作用を二度走らせない冪等リジューム。動かせる実装まで含めて、順に組み立てていきます。

なぜ Managed Agent は途中で消えるのか

まず前提を揃えます。消えるのは異常ではなく、仕様の側にある性質です。

Managed Agents のサンドボックスは、原則として一過性です。1回の走行のために立ち上がり、走行が終われば片づけられる。長時間の走行中であっても、次のような契機で環境が作り直され得ます。

契機起きることこちらから見た症状
アイドルのタイムアウト外部待ち(API 応答待ち等)で無活動が続くと回収長い待ちのあとに走行が消える
プラットフォーム保守・再配置ホスト側の都合でサンドボックスを別ノードへ再現性のない中断。ログに理由が残りにくい
実行時間の上限1走行あたりの稼働時間境界に到達決まった時間で必ず切れる
割り当ての圧迫同時走行やクォータの都合で優先度の低い走行を停止混雑する時間帯に落ちやすい

共通しているのは、こちらが中断の主導権を握れないことです。だからこそ、設計の向きが決まります。「落ちないようにする」のではなく、「落ちても続けられるようにする」。前者は環境の制御を前提にしますが、その制御はこちらにありません。後者は、進捗の置き場所を自分の側に持つだけで成立します。

長時間走行を Managed Agents に任せる判断そのものは、私は好んで使います。手放せる運用は手放したい。ただしその条件として、進捗はサンドボックスの外に持つ。この一点を最初に引いておきます。

設計の核心 — 進捗を「外」に逃がす

やることは一言で言えます。エージェントが一歩進むごとに、その一歩を外部の永続ストアに書く。サンドボックスが消えても、外部ストアは残る。次の走行は、外部ストアを読んで続きから始める。

ここで大切なのは、外へ逃がす対象を最小限に絞ることです。中間データを丸ごと保存したくなりますが、それは重く、壊れやすい。逃がすべきは次の二つだけです。

  1. どこまで進んだか(ステップ番号、あるいは処理済みの識別子の集合)
  2. 続きを始めるのに必要な最小の状態(次に処理する入力の位置、累積カウンタ、外部リソースのハンドルなど)

途中生成物そのもの(要約テキスト、画像、部分集計)は、外部ストアの「確定済み結果」テーブルに副作用として書き、チェックポイントからは参照だけにします。こうすると、チェックポイントは軽いまま保て、再開時に読み直すコストも小さく済みます。

言い換えれば、チェックポイントは地図であって、荷物そのものではない。荷物は途中の各地点(確定済み結果)に置き、地図には「どこまで来たか」だけを記す。この分離が、後の冪等性を素直にします。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
サンドボックス再生成でも失われない、ステップ番号と再開状態だけを外へ逃がすチェックポイント設計
副作用を二度走らせない冪等リジューム: claim から commit までの三相と、SQLite で動く完全なコード
チェックポイント粒度の指針: 毎ステップ保存と一括保存の、回復時間とコストの実測トレードオフ
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