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API / SDK/2026-05-26上級

Gemini API と Apple FoundationModels(iOS 26)を組み合わせる — オンデバイス優先のハイブリッド推論ルーティング実装メモ

iOS 26 の FoundationModels と Gemini API を組み合わせ、オンデバイスを優先しつつ越境部分だけクラウドに逃がす設計を、壁紙アプリの「画像から詩を生成」機能で実運用した記録です。Swift コード・レイテンシ計測・落とし穴まで具体的にまとめました。

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朝、自分の壁紙アプリを開いて「この画像で詩を生成」ボタンを押したとき、画面の下半分がうっすら灰色になったまま 0.9 秒ほど固まりました。詩の中身は綺麗だったのですが、ボタンを押した指がまだ画面に触れているうちに反応してほしいタイプの体験です。Gemini 2.5 Flash の API レイテンシを責めるのは少し違って、そもそも「6行の俳句のためにクラウドへ往復するのか」という設計の問題でした。

アーティスト・クリエイターの廣川政樹です。2014年から個人で iOS と Android のアプリを開発・運営しており、累計5,000万ダウンロード超の壁紙アプリ群の改善を続けています。iOS 26 で正式公開された Apple の FoundationModels フレームワークが手元の iPhone 15 Pro でも安定して動くようになったので、Gemini API と組み合わせて「先にオンデバイス、足りなければクラウド」という二段構えに切り替えました。1週間分の運用ログが揃ってきたので、設計判断と Swift 実装を書き残しておきます。

なぜハイブリッド設計が必要になったか — 個人開発の3つの制約

最初は迷わず Gemini 2.5 Flash 単体で組んでいました。多言語の詩を破綻なく出力でき、コストも 100万トークン換算で見れば許容範囲です。それでも以下の3点で行き詰まりました。

ひとつめは、ボタンを押してから初行が見えるまでのレイテンシです。Cloudflare Workers 経由で API を叩く構成では、TTFB が 600〜900ms。日本国内の昼帯で測ると平均 920ms 前後でした。壁紙アプリのユーザーは「画像を眺めながら短い詩を読む」という連続動作に入るため、1秒近い待ち時間は心理的に長い。

ふたつめは、コストです。月間アクティブの DAU が 8,000 前後、1ユーザーあたり 1.4 回ほど「詩を生成」を押します。月で約 33万リクエスト。プロンプトと応答を合わせて 1リクエスト 400 トークンとして、入力 1.32億トークン・出力 0.66億トークン。2.5 Flash の単価で計算すると月 ¥18,400 ほどに落ち着いていました。広告収益の改善ぶんを丸ごと差し引く規模ではないものの、無料アプリの軸として持続的ではありません。

みっつめは、オフライン挙動です。地下鉄や機内モードで開いたユーザーが「読み込み中」のまま止まると、レビューで「最近重くなった」と書かれます。AdMob のインタースティシャル広告とのタイミングがずれる副作用もあり、機内モードでも詩だけは出る状態を作りたかった。

このあたりの判断を整理していくうち、Apple FoundationModels が短文生成にちょうどよさそうだと気付きました。3B 級の蒸留モデルですが、6〜12行の詩や俳句のような短く構造化された生成タスクなら十分に扱えます。

Apple FoundationModels(iOS 26)に期待してよいことと、してはいけないこと

最初に明確にしておくと、Apple FoundationModels は「クラウドモデルの代替」ではありません。私の現場で実用に耐えると感じたのは、次のような範囲です。

期待してよい範囲としては、まず英語と主要欧州言語での短文生成(200〜400 トークン程度)が安定しています。@Generable で定義した構造体への JSON 風応答は、Gemini の structured output と同様にスキーマ違反がほぼ出ません。タグ付け・キーワード抽出・短い説明文生成・短歌や俳句のような定型詩は、得意分野と言ってよいです。

期待してはいけないこととしては、画像入力は扱えません(Vision フレームワーク側でキャプション化してから渡す必要があります)。長文生成は途中で打ち切られやすい。日本語の出力は iOS 26.0 時点ではまだ揺らぎがあり、漢字選択が直訳寄りになります。RAG のような大きな埋め込みベクトル検索とつないだ推論は、コンテキスト上限の関係で素直には載りません。

利用可能性の確認は最初に必ず入れます。SystemLanguageModel.default.availability.available 以外の値(.unavailable(.deviceNotEligible).unavailable(.appleIntelligenceNotEnabled))を返すケースがそれなりにあるため、本番では分岐コードを書く前提です。

import FoundationModels
 
enum LocalModelStatus {
    case ready
    case notEligible
    case appleIntelligenceOff
    case downloading
    case other(String)
}
 
func detectLocalModelStatus() -> LocalModelStatus {
    let model = SystemLanguageModel.default
    switch model.availability {
    case .available:
        return .ready
    case .unavailable(.deviceNotEligible):
        return .notEligible
    case .unavailable(.appleIntelligenceNotEnabled):
        return .appleIntelligenceOff
    case .unavailable(.modelNotReady):
        return .downloading
    case .unavailable(let reason):
        return .other(String(describing: reason))
    @unknown default:
        return .other("unknown")
    }
}

iPhone 15 Pro 以降・iPad の M シリーズ以降が .ready になり、それ以前のデバイスは .notEligible で固定です。サポート率は私のアプリの DAU 構成で 38%ほど(壁紙アプリは比較的旧端末ユーザーが多い)でした。

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Apple FoundationModels(iOS 26)と Gemini API を切り替えるルーティング判定ツリーと、それを Swift で書いたサンプル一式(SystemLanguageModel.availability / LanguageModelSession / GenerateContent 呼び出し)
壁紙アプリで1週間運用した結果、平均レイテンシ 920ms → 240ms、月次の Gemini 課金が ¥18,400 → ¥4,720 に落ちた具体的な計測ログと、AdMob eCPM への影響
オンデバイス推論を本番に入れて分かった4つの落とし穴(言語制約・トークン上限・温度ばらつき・初回ロード遅延)と、それぞれの回避策
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