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API / SDK/2026-07-06上級

取り込んだのに一度も引かれない資料 — File Search ストアを引用ログで棚卸しする隔離つき剪定設計

File Search ストアに積んだドキュメントの多くは一度も引用されないまま費用と検索精度を蝕みます。grounding metadata から引用ログを取り、一度も引かれない資料を隔離期間つきで安全に剪定する運用設計を、動くコードとともに解説します。

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半年ほど個人開発のFAQアシスタントを File Search で回していて、ある日ストアの明細を見て手が止まりました。取り込んだ 320 ドキュメントのうち、直近 90 日で実際に回答の根拠として引用されたのは 70 件ほど。残りの 8 割近くは、一度も引かれないまま埋め込み費用とストレージ費用を静かに払い続けていたのです。

厄介なのは、これがコストだけの問題ではないところでした。使われない資料が増えると、検索が拾う候補チャンクの母数が膨らみ、本当に効く資料が上位に来にくくなります。太ったストアは、財布と回答品質の両方をゆっくり削っていました。

そこで組み立てたのが、引用の実データ、つまり grounding metadata を毎回記録し、「取り込んだのに一度も引かれない資料」を隔離期間つきで安全に剪定する運用です。Dolice で運用しているアシスタントで実際に使っている設計を、そのまま持ち出せる形にしました。

なぜ「一度も引かれない資料」が二重に効くのか

File Search ストアの費用は、埋め込み生成時の一回きりの課金と、保管し続けるストレージ課金の二層になっています。取り込んだ瞬間から、そのドキュメントは引用されようがされまいが保管費を発生させ続けます。

さらに見落としやすいのが検索精度への影響です。ベクトル検索は上位 k 件を返しますが、意味的に近いが古い・重複した・的外れな資料がストアに混ざっていると、それらが上位を占めて本命を押し出します。私の環境では、重複した旧バージョンのマニュアルが3件残っていたせいで、最新版が top-k から外れて回答が古い手順を返す、という地味な事故が起きていました。

つまり使われない資料は、保管費を払わせながら、同時に回答の質を薄めます。剪定は節約というより、検索の信号対雑音比を上げる作業だと捉えたほうが実態に合います。

設計の全体像 — 消す前に「測って、隔離して、確かめる」

安全な剪定は3つの段階に分かれます。いきなり削除しないことが肝心です。

段階やること守るもの
測る毎クエリの引用 file_id を台帳に追記する判断の根拠を実データにする
洗い出すストア一覧と台帳を突き合わせ、未引用かつ経過日数が閾値超の資料を候補にする新しく入れたばかりの資料を誤爆しない
隔離して確かめる候補を即削除せず一定期間ストアから外し、影響が出なければ削除する稀にしか効かない資料を失わない

「稀にしか引かれないが、引かれるときには決定的に効く資料」の存在が、この設計を必要とする理由です。四半期に一度だけ参照される料金改定の告知や、特定機種でしか出ないエラーの対処メモは、90 日の観測窓では未引用に見えても消してはいけません。隔離期間は、その取りこぼしを検知するための猶予です。

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半年で320件まで膨らんだ File Search ストアから、一度も引用されない資料を勘ではなく grounding metadata の実データで特定できるようになる
コピペで動く引用テレメトリの記録・集計コードを手に入れ、90日の観測窓で回す週次の棚卸しジョブに組み込める
即削除で稀に効く資料を失う事故を、隔離期間つき剪定と allowlist ガードで防げる
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