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高度な活用/2026-06-18上級

長時間エージェント実行を途中から立て直す — Gemini 3.5 Flash の long-horizon タスクをステップ台帳で運用する設計

Gemini 3.5 Flash の long-horizon タスクは便利な一方、途中で落ちると最初からやり直しになりがちです。各ステップを追記専用の台帳に記録し、再開・重複防止・監査を同時に満たす設計を、動くPythonコードと実測値とともにまとめます。

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プレミアム記事

29ステップ目で落ちました。

Gemini 3.5 Flash に長い工程を任せていた夜のことです。記事候補の収集から要約、重複判定、下書き生成、画像メタデータの整理まで、40ほどの小さなステップを一本の実行にまとめていました。28ステップまで順調に進み、29ステップ目で外部APIが504を返し、プロセスごと終了しました。

つらいのは、やり直すと28ステップ分の推論と課金がそのまま無駄になることです。私自身、個人開発でこの「最初からやり直し」を何度か味わって、ようやく腰を据えて再開可能な土台を作りました。

本日 6/18 に Gemini 3.5 Flash が提供開始となり、long-horizon(長時間・多段)のタスクで実用的に粘れるという説明が出ています。実際、一本の実行に詰め込める工程は確かに増えました。けれども工程が長くなるほど、途中で落ちたときの損失も比例して膨らみます。長く走れるモデルを活かすには、長く走る前提の足回りが要ります。

その足回りとして私が落ち着いたのが、ステップ台帳(step ledger)という地味な仕組みです。

長時間実行が壊れる三つの瞬間

まず、どこで壊れるのかを整理します。30ステップを超える実行を続けていると、故障は決まって次の三つの形で訪れました。

ひとつ目は、外部要因による中断です。APIのタイムアウト、レート制限、デプロイによるプロセス再起動。これは避けられません。

ふたつ目は、再開時の二重実行です。落ちた箇所から雑に再開すると、すでに投稿した下書きをもう一度投稿したり、課金済みの生成をもう一度走らせたりします。中断より厄介で、後始末が必要になります。

みっつ目は、原因が追えないことです。「なぜ19ステップ目でモデルがこの判断をしたのか」を後から知りたくても、標準出力に流れて消えていれば手がかりが残りません。

ステップ台帳は、この三つを一枚の仕組みで受け止めます。各ステップの入力・出力・決定を、追記専用(append-only)の記録に刻むだけです。記録があるから再開でき、記録に冪等キーを添えるから二重実行を防げ、記録が残るから監査できます。

台帳の最小スキーマ

台帳の一行は、一つのステップに対応します。私が運用で落ち着いた列はこれだけです。

役割
run_id実行全体を識別する。再開時は同じ run_id を渡す
step_id工程内で安定した名前。「summarize:article-42」のように決定的に決める
idem_key副作用の冪等キー。入力のハッシュから導く
statusstarted / done / failed のいずれか
output_ref成果物の保存先(パスやKVキー)。本文は台帳に入れない
created_at追記時刻。並べ替えと監査に使う

大切なのは、台帳に成果物の本文を入れないことです。台帳はあくまで「何が起きたか」の索引で、重い本文は別の保存先に置き、output_ref で指すだけにします。こうすると台帳は軽いまま育ち、数千行になっても読み込みが一瞬で済みます。

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この記事で得られること
30〜60ステップ規模の長時間エージェント実行が途中で落ちても、最後に成功したステップから再開できる台帳の実装を、コピーして動かせる形で持ち帰れます
同じ副作用(API課金・ファイル生成・外部投稿)を二度実行しない冪等キーの作り方と、台帳との結び付け方が分かります
「どのステップで何を考え、何を決めたか」を後から追える監査ログとして台帳を兼用し、障害解析の時間を実測で約7割短縮した運用知見を共有します
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